公開: 2024年4月18日
更新: 2024年4月18日
地球上の生物の場合、どれだけの情報を、どれだけ正確に記憶できるのかは、大脳の大きさで決まる傾向があります。鳥類や爬虫類の記憶能力が限定されているのは、鳥類や爬虫類の大脳が、人間の大脳に比較すると、小さいからであると考えられているからです。この仮説が正しいとすれば、体の大きさが大きな動物は、体の体積に占める大脳の容量も、体の大きさに比例して、大きくなる傾向があります。実際に、クジラの大脳や、象の大脳は、容量だけを見れば、人間の大脳よりも大きいのです。確かに、象は、他の猛獣と比較すると、高い知能を持っています。しかし、人間と比較すると、一般化はできません。
人類の場合も、ネアンデルタール人と現生人(類)を比較すると、ネアンデルタール人の脳は、現生人の脳よりも大きいことは分かっています。しかし、ネアンデルタール人の知的能力が、現生人(類)の知的能力よりも高いかどうかは、分かりません。一般的には、現生人の知的能力は、ネアンデルタール人の知的能力よりも高いと考えられていますが、個人個人を比較した場合には、比較はそれほど簡単ではないでしょう。それは、現生人である我々の知能は、我々自身の能力だけでなく、社会に組み込まれている先人の知的な活動の成果の影響を強く受けています。そのため、自分の脳の記憶能力と、ネアンデルタール人のある個人の記憶能力を、純粋に比較することはできません。
現在のロシアの山の中の村に、ネアンテルタール人の子孫ではないかと言われた女性が20世紀まで生きていました。彼女は、我々と比較すると、知能的には、劣っていたようですが、生きてゆく上では、我々と大きな差は無かったと言われています。現在でも、その子孫の人々(現生人との混血です)は、普通の人として、ごく普通に生きているとのことです。特に、知的に優位、または不利、であると言うこともないようです。確かに、ネアンデルタール人の子孫と言われた女性の場合、頭の大きさは、普通の人よりも大きかったと記録されています。
現生人でも、天才と言われた物理学者のアインシュタイン博士の大脳は、普通の人たちよりも大きかったと言われています。大脳は、完全には残されてはいませんが、一部分を除いて、そのほとんどは残されています。その標本から分かっていることは、アインシュタイン博士の場合、大脳の「空間認識」に関係した部分が発達していたと言われています。記憶に関係する「海馬」が発達していたとの記録は、見つかっていません。